経営者のひとりごと

「組織に属す理由」を持とう

「組織に属す理由」を持とう

働くことを楽しくしたい。

そう思い、カジュアルな個人面談を重ね、見えてきた新たな課題があります。それはスタッフの「会社(組織)で働く理由」を定義付けること。

“定義付ける”なんて表現すると「それ、会社が求めること?」「ブラック企業発言じゃないwww?」と非難されそうですが・・・

実際に面談を通して感じたことは “個人で成し得ない事を実現するために(自分の将来のために)、会社に所属している人は極めて低い” ということ。ここで言う「個人で成し得ない事」というのは、お金を稼ぐことやスキルを身につけること、複数人でないと成し遂げれないハードルを越えることです。

この比重は人によって異なりますし、それぞれ重視するフェーズも変動します。もちろん、それらに対し会社のビジョンや目標は必ずしも直結するとは限りません。しかし組織を管理する経営者として個人と会社、お互いの目標はクリアし、Win-Winな関係性を築くべきではないかと考えています。

共に働く以上、楽しい環境を提供したい、その人の人生が豊かになるように成長の後押しをしたい。これは反対に経営者としても、気の合う仲間と楽しく働きたいし、組織で多彩に活躍して欲しいということ。

これが私の考える、“はたらくを楽しく”することです。

  • 仕事をいくら頑張っても、自分の人生は豊かにならない
  • 自分の“働く”はライスワークではあるが、ライフワークではない
  • 組織内の狭い世界での評価よりも、プライベートワークで社会的な価値を上げたい
    ※直接スタッフから出た意見ではありません

いずれも間違っていない考え方だと思いますが、働き方として「それコスパ悪くないですか?」と思うのです。

“せっかく働くなら、自分の人生が活きるように働こうよ” と。

収入が増えると行動範囲が広がる。スキルが増えると業務の幅が広がる。これらは自身のキャリアにも繋がり、会社という仕組みを利用することで、結果的に可動域を広げることに繋がります。

うちはWeb制作会社という特質上、終身雇用が可能な事業体系ではありません(今のところ多分)。だからこそ無理に「会社に貢献するぞ!」と気負わずに、もっと自分の人生に責任を持って、相対的に日々働くべきだと思うのです。

会社で働く理由が「フリー(1人)では稼げない」になってない?

“優秀な人は、フリーでも稼げる” これは今の時代、紛れもない事実です。

業界のベテラン組織人は「そんなの短期的なものだ」「あのクオリティで何年も稼げるのは情弱ビジネスだからだ」と酷評しますが、これは時代認識が間違っています。

iPhoneが誕生したのは2007年。それから時計、カレンダー、地図、音楽プレイヤー、カメラ、アルバム、デスクトップPC、カード etc、あらゆるモノが無くなりつつあります。たった10年で、しかもこのテクノロジーの進化は加速しています。

あなたが今している仕事は、5年後にも需要があるでしょうか?

それを予測出来ないのが今の時代です。もちろん業態や働き方のスタイルを変えることで活躍し続けることは可能です。

ただ、個人と企業の金銭的な繋がりはどこまでいっても価値交換です。そして関係性においては「雇用」から「契約」にシフトしています。

終身雇用が無くなった今、いわば“長期契約”のような関係性では今後個人の価値として捉えた際に、先細り状態であることは明白なのではないでしょうか。

会社は“働きたくなる場所”でなくてはならない

ただ、反対に企業側にも「会社で働きたくなる仕組み」が求められます。
つまり社会的な存在意義です。

市場での取引がモノやサービスだけではなく、人までもが取引される今、会社が単にプレイヤーの価値を足し算しただけの合計値では意味がありません。そこに「人が集まる理由」そのものが企業価値となります。

NewsPicksのWEEKLY OCHIAI「スタートアップをアップデートせよ」にて、デロイトトーマツベンチャーサポートの斎藤祐馬(@jashleeyum)さんが、スタートアップ企業に今本当に必要なものは何か?について、こんなことを言っていました。

“あなたがいる世界といない世界で、社会にどんな差分が生まれるのか?”

これはスタートアップ企業に限った話ではなく、経営者であれば求められるビジョンではないでしょうか。組織を築き、自社のサービスを展開する中で社会にどんな価値をもたらすのか。経営者にはこの情熱が求められます。

ただし、注意が必要な点もあります。

“経営者として社会的な存在意義を定義付ける”となると、必ずと言って良いほど「ビジョナリー・カンパニーになれ!」の見解に辿り着きます。

概ねは賛成なのですが「これ落とし穴だなぁ」とも思うのです。それは、ビジョンは原則として経営者のみに適用される指標だということ。

強烈なビジョンで組織を牽引する成功譚に魅力はありますが、結局のところそこに集まる人達には実質的に「関係のない」ことなのです。

“「ビジョナリー・カンパニーじゃないと採用が上手くいかない」わけではありません。採用に強い会社がすべからく原体験を語れていて、ビジョンがしっかりあるか?というと、必ずしもそうではないので。 そういう企業は、無理してビジョンを語って人を集めようとするより、違うインセンティブ設計をすればマッチングが上手くいくと思っています。”

引用:採用にペルソナ像は必要ない?採用に成功している企業の共通点

こちらは採用という切り口での見解ですが、個人と会社の関係性の変化がもたらした結果、これが今の現実。

人が集まる仕組みの中での「ビジョン」は全くの無意味なのです。(そう捉えると採用時のビジョン提示は「共感しろ!」的な“経営者のマウンティング”なのかもしれませんね。。。)

組織で働く人間にとっての「会社」は、その人の人生の一部。
経営者にとっての「会社」は、ビジョンを達成するための一部。

そこにはお互いの働く“必然性”が重要ではないかと思うのです。

「組織に属す理由」はありますか?

“男性は「人」を重視し、女性は「環境」を重視する。”
これはあなたは職場のどこを重視しますか?の質問に対して、よく言われる返答です。

  • 尊敬する先輩がいる
  • 自分を頼ってくれる後輩がいる(見捨てることはできない)
  • 子持ちには働きやすい環境だ
  • 自宅作業が助かる …など

働き方が多様性を持ったことにより、働く理由も個人に依存するようになりました。そんな時、是非「◯◯し続ける理由」を見つめ直してみてください。

これには個人・会社員、関係ありません。
もしかすると会社で働き続ける理由になるかもしれません。

さらに広義的な意味で捉え「なぜ働くのか?」から紐解いて行くと、どうでしょうか?

きっと、その答えは出ないでしょう。しかし、あなたが人生にとっての「はたらく」を振り返った時、クスッとでも思い出し笑いが出来たら、きっとそれが答えなんだと思います。

…と、超ポエムな締めくくりになってしまいましたが、今会社でみんなに共有していることを記事にまとめてみました。こうやって「俺はこんな組織にしたいぞー!」をテキスト化していますが、いつも数ヶ月後に読むと微妙にニュアンスが変わってたりします。

それもまた私の中の“働く理由”がアップデートされているせいなのかもしれませんね。

Takanobu Maruyama